今月、介護保険制度の改訂がありました。
今回の改訂では、介護保険サービスの値段にあたる「介護報酬」が3%上がりました。
この改訂は、給与水準が低く、定着率が低いと言われる介護職の給与水準を引き上げることで、介護の質を向上させるという大義名分のもとで実施されました。
この改訂に伴い、1割の自己負担分も値上げされることになり、利用者には負担が増えてしまいました。
もちろん、それで介護職の質が向上するのならいいのですが、そこには落とし穴がありました。
今回の改定では、「介護福祉士が一定以上」、「3年以上勤務する職員が3割以上」、「夜勤職員が国の基準より1人以上多い」などの施設であれば加算される仕組みのため、
どんなに優秀な介護職であっても2級ヘルパーレベルの人は冷遇され、能力がなくても介護福祉士資格を持つ職員が優遇される仕組みなのです。
介護福祉士という資格は、(現時点では)専門学校さえ卒業すれば自動的に取れる資格です。しかし、専門学校を卒業していない場合は、3年以上の現場経験を積んだ上で国家試験を受けなければ取得することもできません。
介護現場で働く人、それも新卒者以外の人たちの多くは2級ヘルパーです。この資格は、簡単な講習を受けるだけで取得できるため、他の業界からの転職組や、家族介護経験者が介護の世界に飛び込むときに取得することも多いわけです。
しかし、今回の改訂で、彼らは冷遇されることになるでしょう。そして、社会のことをなにも知らない新卒の介護福祉士が重用されることになるわけです。
これで、本当に介護の質が向上すると言えるのでしょうか?
このことを端的に解説した記事があるのでご紹介します。産経新聞の「ラーメン代と介護利用料の違いは?」です。
まさに、その通り!これで介護の質が向上するというのは勘違いでしかないでしょう。
介護の質を高めたいなら、2級ヘルパーを介護福祉士に引き上げるための方策をとりながら、介護福祉士に対してもさらに上級の教育を施し、それに付加価値を付けていく工夫が必要だと思います。
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