衆院選静岡7区から無所属での立候補を表明している城内実氏のポスター事件は、政治家の脇の甘さを感じさせる事件ですね。
日刊スポーツによれば、「城内氏の後援会関係者が真鍋かをりの関係者と友人だった縁で対談し、意気投合した」「真鍋からは『心願成就まで禁酒されているそうですが、早く祝杯を挙げられる日が来ることを祈っています』との応援メッセージも届いた」「ノーギャラで、超一流のボランティアが援軍についた」と書いてあったそうです。
そういえば、テレビ朝日でも、“秘策”について雄弁に語っていましたね。
それに対して、城内実氏側は7月30日のブログで「知人の仲介で、事務所から掲載許可を得て写真を借りたので、無断使用ではない」と反論、「ポスターも撤去しない」と強気の姿勢を見せたことから騒ぎは大きくなったようです。
(この時点で「写真の使用」についての説明のみで、支持や応援という「本人の意志」については一切触れていないのはなぜでしょう?以後もその点については堅く口を閉ざしたままです)
「特定候補の支援者(?)」という点を重視したフジテレビは、急遽眞鍋かをりさんの出演を見合わせるという実害も発生しました。
「公職選挙法では、衆議院任期満了6か月前から候補者単独のポスターを張ることが禁止されているため、候補者は演説会の告知などとして、党首や人気議員ら とのツーショットを掲載するのが通例。今回のようにタレントや著名人を起用するケースも見られるが、弁士と称しても実際には演説会などは開催されないこと が多い。」(スポーツ報知より引用)だそうですから、人気取りのための写真利用であることは間違いありません。
しかし、話はさらに発展します。城内氏は翌7月31日のブログで「ポスターの撤去と(1年前の)対談動画の削除」だけを表明、さらに仲介者であるイベント企画会社オフィスプロペラの木村正明社長がマスコミ各社にFAXを送ったことで、マスコミ的には決着を見せた格好となったようです。(参考記事)
面白いのがデイリースポーツの「眞鍋かをり写真使用は無断じゃなかった」という記事。A氏B氏など仮名の人物が登場し、城内氏側に非がないことを強調しているのですが、A氏が木村氏ということはわかりますが、B氏(所属事務所の社長と推測されます)の存在を書いているのはデイリースポーツのみ、さらに同紙は「無断使用ではなかった」とまで報じているのはなぜでしょう。
写真を使用することについては所属事務所の許諾だけで済むかもしれませんが、応援や弁士という部分では本人が知らない話では済まないはずですよね。強いて言えば、許諾が事実だとしても応援メッセージについては所属事務所が関与するレベルの問題でないことは明らかです。
ちなみに、木村正明氏は「城内実後援会東京支部」の幹部だそうですね。仲介者という第三者的な立場というよりも、城内氏サイドの人間ということになるわけです。
それでも、この時点では真相はまだ闇の中です。果たして本当に使用許諾はあったのか?許諾があったとして、その範囲はどこまでだったのかもはっきりしていません。
その真相を明らかにしたのは眞鍋かをりさんの所属事務所アヴィラでした。8月1日、同社の公式サイトのトップページに「一切の掲載許可はしていない。オフィスプロペラの無断使用であり、多大な迷惑を被った」と短く表明しました。(8月13日の追記参照)
善意に解釈しても、城内氏側が許可を得ていないことは明白で、7月31日の釈明について訂正と謝罪をする必要はあるはずです。
これまでの経緯を見ると、眞鍋かをりさんも所属事務所も困惑を表明しながらも、沈静化に努めようとしていることは感じられます。城内みのる氏を直接責任を問わず、仲介者という位置づけの木村氏の釈明を否定するだけに留めているところは、選挙戦への影響に配慮しているのでしょう。
しかし、肝心の城内氏サイドは失策を重ね続けています。当初は「無断使用ではない」と反論し、ポスターも撤去しないという強硬姿勢。そして、眞鍋かをりさんがテレビに出演できなくなるなどの実害が発生した時点で「芸能活動に支障をきたしていること」だけを理由としたポスター撤去と動画削除のみを行い、あとは一言の説明もなく、仲介者(実は後援会幹部)による虚偽の説明だけで済ませようとしたことです。
本日現在も、城内実ブログは炎上を続けていますが、氏はどうするつもりでしょう?このまま自然鎮火を待つのでしょうか?
アヴィラの意思表明から丸1日が過ぎましたが、城内ブログには動きはありません。
他人事のような表現で、ポスターの撤去と動画削除だけでは、説明責任を果たしたとは言えません。
それこそ、対立陣営にとっては自爆してくれたことをほくそ笑んでいるのではないでしょうか。敢えて追求しないのは、架空の講演会ポスターという手法は政治家の常套手段なので、火中の栗を拾うよりも対岸の火事にしておく方が賢明という判断でしょう。
そう言えば、4年前の総選挙でも城内氏支持者の天川由記子水戸短大教授(当時)が「自民党の安倍晋三幹事長代理(当時)から「頼まれて応援に来た」と語ったことで、発言の撤回を求める通告書を内容証明郵便で送られたことがありましたね。
今回も同じような顛末になりそうですが、過去の教訓を生かせないのはなぜでしょう?
私は、城内氏の支持者でもなければ、対立陣営の支持者でもありませんが、本件については興味深く眺めていきたいと考えています。
余談ですが、削除された「動画」ですが、城内氏が眞鍋さんを招いて対談したという内容ですが、政治的な話はほとんどなく、ブログの女王に対して一ブロガーがインタビューしている感じですね。眞鍋さんには困惑している雰囲気があって、とても対談という感じには見えず、城内氏にとってプラスになる映像ではないのに、なぜ掲載しているのだろうと疑問に思っていました。
追記
J-CASTニュースなどがアヴィラのコメントを取り上げ始めましたから、騒動は鎮火するどころか再燃し始めたようですね。
炎上している城内氏のブログへのコメントによれば「公職選挙法 第235条(虚偽事項の公表罪)に該当するのではないか?」という意見まで飛び出しています。
公職選挙法 第235条(虚偽事項の公表罪)
当選を得又は得させる目的をもつて公職の候補者若しくは公職の候補者となろうとする者の身分、職業若しくは経歴、その者の政党その他の団体への所属、その者に係る候補者届出政党の候補者の届出、その者に係る参議院名簿届出政党等の届出又はその者に対する人若しくは政党その他の団体の推薦若しくは支持に関し虚偽の事項を公にした者は、2年以下の禁錮又は30万円以下の罰金に処する。
8月3日 追記
本日のニュースです。
「眞鍋かをりポスター問題で城内氏が謝罪 「無断使用していない」」
「衆院選に静岡7区から無所属で出馬予定の城内実氏(44)の後援会ポスターに、タレントの眞鍋かをりさんの写真が使用された問題で、城内氏自身が3日、「眞鍋さん自身、眞鍋さんの事務所、ファンの方々にご迷惑をおかけしたことをおわびいたします」と謝罪した。
衆院選に向けた共同インタビューの冒頭、城内氏自身が「私からお話ししたいことがあります」と切り出した。
写真使用について城内氏側は「都内の会社を通じて了解をいただいている」としているが、眞鍋さんは自身のブログで「なぜその写真がポスターになったのか困惑している」と、自身が知らぬところで写真が使われたと抗議していた。
城内氏はすでにポスターの大半を撤去済みとした上で、「(写真使用について)仲介した会社と眞鍋さんの事務所との間で十分に了解が得られていなかったよう だ。私たちはご了解いただいたと思っており、無断使用していないと思っている」と説明。「おわびは申し上げるが、趣旨が伝わっていなかったとすれば非常に 残念です」と述べた。(msn産経ニュース )」
ニュースのタイトルには「城内氏が謝罪」とありますが、謝罪になっていませんね。写真の使用についての説明、それもあくまでも無断使用をしていないと思っているというのですから、なにを謝罪しているというのでしょう?
読売新聞は、謝罪という言葉も使わず、「“無断”」と強調していますから、ニュアンスはだいぶ違いますね。
「衆院静岡7区(浜松市西区など)から無所属で立候補予定の元議員城内実氏(44)は3日、自身とタレントの真鍋かをりさんの顔写真が入ったポスターを作製したところ、真鍋さん側から無断使用の指摘を受けたとして、ポスターを撤去したことを明らかにした。
「無断使用はしていないと理解しているが、結果として真鍋さんや関係者の方々に迷惑をかけたことをおわびする」と話している。
陣営関係者によると、ポスターは来年3月開催の演説会告知用として数百枚作製。
7月中旬から張り出したところ、真鍋さんが7月29日付のインターネットのブログで、「1年ほど前に(城内氏と)対談し写真も撮りましたが、私は特定の政党や政治家の応援はしていません。何故このような使われ方をしたのか確認して対処したいと思います」と書き込んだ。
城内氏が手続きを依頼したとされる都内のイベント制作会社役員の男性は、「説明不足で真鍋さん側に正確な意図が伝わらずこのような事態を招いた」と説明している。(読売新聞 2009.8.3 19:43)」
しかし、いずれにしても、写真の使用許諾よりも重要な問題、応援メッセージと弁士としての記載については一切触れていないのはどういうことでしょうか。
未確認情報ですが、城内ブログへの批判コメントの中で「後援会の入会案内に、眞鍋さんの応援メッセージが記載されている」そうです。現物を見ていないので事実確認はできませんが、これも回収対象なのでしょうか?それとも放置しているのでしょうか?どなたか教えていただけませんか?
ちなみに、城内氏の公式サイトには未だに一切の謝罪は掲載されていません。おそらく、今後も掲載することなく、今日の共同インタビューだけで終わりにするだろうと思いました。
そういえば、今日のメインニュースは裁判員裁判。このニュースの陰にお詫びコメントが隠れることも狙っているのでしょうね。
8月4日 追記
城内実ブログに更新がありました。「☆お知らせ☆ 古橋廣之進先生のご逝去」の追加です。城内実後援会の初代会長ということで取り上げたようですが、ポスター問題についての話題ではありません。昨日の謝罪(?)で終結したいという意思表示でしょうか。
一方、3日のDVD発売イベントに現れた眞鍋かをりさんも、取材陣からポスター問題について質問されたものの一切を語らなかったそうです。(日テレnews24,デイリースポーツ)
これらの動きを総合すると、当面は、表面的にはこれ以上の動きはないだろうと思います。あるいは、このまま終息してしまうのかもしれませんね。
アヴィラとオフィスプロペラ(&城内事務所)間で「肖像権」無断使用やテレビ出演キャンセルについての金銭面での話し合い(あるいは民事訴訟)が起きるかもしれませんが、眞鍋さんの応援メッセージや弁士として紹介したことについては、闇の中になりそうな気がしています。(城内氏が落選すれば、動きはあるかもしれませんが、少なくとも選挙が終わるまでは大きな動きはないでしょうね)
新たな報道が出ました。
「城内実氏と真鍋かをりの後援会ポスターを騒動にしたのは誰だ」
「●「公選法では問題ないのに…」
選挙絡みのトラブルで「とくダネ!」(フジテレビ)の出演を見合わせ――。真鍋かをり(28)のスキャンダルがやっと着地した。
そもそもの原因は29日に一部で報じられた静岡7区から無所属で衆院選に出馬する城内実氏と一緒に写ったポスター。昨年、2人が城内氏のオフィシャルサイトで対談したことが縁でツーショットのポスターが実現したものだ。
これは公職選挙法では何ら問題はないのだが、真鍋側とフジ側が問題視し、まず真鍋が自身のブログで対談の写真が使用されたことに対して、「困惑しています」とコメント。フジは「事実関係を確認中」(広報部)ということで30日の出演を見合わせた。
だが、不思議なのは使用された写真は対談時のものではなく、真鍋の事務所と、間を取り持った芸能事務所「オフィスプロペラ」の木村正明社長の了承 のもとで、城内氏側に渡された写真だ。真鍋はブログでコメントする前に事務所に確認するのが賢明だし、先にフジや木村社長、所属事務所と話し合った方がよ かった。
だが、こじれにこじれて城内氏が真鍋の写真を無断使用したような展開に。そこで芸能界の重鎮、何人もの関係者が動いて事態が収拾されて、木村社長が城内氏と真鍋に対して「お詫び申し上げます」という文書を出し、城内氏はポスターを撤去した。
この騒動はそれにしてもお粗末だ。そもそも問題がないポスターでここまで大騒ぎになったのが解せない。
騒動の当初はフジ局内でドタバタがあったとされる。誰かがフジに「ワイドショーに出ているタレントが特定の政治家のポスターに出てもいいのか」と 横槍を入れたのが発端という情報があるのだ。フジはこれを否定しているが、時期が時期だけにあり得ない話ではない。誰かがたきつけた可能性がある。
それにしても、結果的には城内氏にも真鍋にも迷惑な話だった。(日刊ゲンダイ(2009.8.1 10:00)」
面白い記事ですね。公職選挙法上は問題なしですか。言われてみればそうかもしれません。何しろ、まだ告示前ですし、現時点では「ただのオジサン」でしかありませんから、公職選挙法の問題にはならないのでしょう。
ということは、「ただのオジサン」が架空の講演会のポスターに“無断”でタレントを弁士として紹介し、架空の応援メッセージを載せただけの話ということになります。
となると、法的には(現時点では)肖像権の問題だけなんですね。応援メッセージや弁士としての紹介が問題になるとすれば、告示が行われ、正式に立候補した時点からです。
そうなると、事件化するのは選挙終了後ですね。果たして城内氏は当選できるのでしょうか?講演会に入るような支持者たちには大した影響は与えないでしょうが、浮動票層にはどう写るのか。興味深く行方を見守っておくことにしましょう。
「城内実後援会」の入会案内リーフレットの掲載されている眞鍋かをりさんの応援メッセージ部分を入手しました。城内ブログへのコメントによれば、「現在も配布している」という説と「当該部分は切り取って配布している」という説があります。果たしてどちらが本当でしょうか?
眞鍋さんが“応援”を否定した以上、城内陣営が配布を続けることはリスクが大きすぎるとは思うのですが、「(騒動後に)自宅のポストに投函されていた」と言っても、本当に城内派が投函したものであるという証拠にはなりません。騒動以前に配布されたものである可能性もあるし、敵対勢力が入手したリーフレットを再投函している可能性もある反面、未だに誤解する人がいる可能性にかけたり、そんなことすら意識することなく配布している可能性もあるわけです。一連の城内氏コメントから考えれば、これも否定できません。逆に(配布した)言い訳はどうにでもできますから、敢えて配布した可能性も否定できないからです。
この事件について、まとめWikiができています。これによれば、城内ブログの炎上は未だに収まらず、支持者と思われる人による眞鍋さん攻撃が続いています。
8月7日 追記
新たな情報が出てきました。城内実後援会の幹部でオフィスプロペラ社長の木村正明氏と芸能界に君臨するバーニングプロダクションとの関係です。どうやら、この辺りが眞鍋さんやアヴィラの口が重い理由なのでしょう。
しかし、城内事務所までが口を閉ざしているのは馬鹿としか言えません。
8月11日 追記
事件発覚以後、ピタリと発言を止めてしまった城内ブログが本日から再開したそうです。
☆お知らせ☆ ブログの再開
「2009-08-11 10:05 by 城内 実このたびはポスター騒動でこのとことん信念ブログの読者の方にご心配ご迷惑をおかけしたこと深くお詫び申し上げます。
サーバーの容量の問題があり、一時アクセス不能となりましたが、ようやくアクセス数も落ち着きましたので、ブログを再開することとしました。
なお、当ブログの方針としまして基本的にコメントを削除せずすべて公開する(但し一部の公序良俗に反するもの、第三者への目に余る誹謗中傷)という立場であります。ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。」
だそうです。しかし、コメントの中には、眞鍋さんや対立候補の陰謀とか誹謗中傷は多いのですが、一切削除されていませんね。
8月13日 追記
マスコミに新たな動きが・・・
この記事によれば、アヴィラ側の後ろ盾として新たな芸能界の大物が登場し、木村正明氏の後ろ盾との間で手打ちが行われたという顛末のようです。
その結果、アヴィラトップページに掲載されていたメッセージは削除され、「会社情報」からリンクする【発表資料】という形でひっそりと掲載されています。(本人のブログは残っていますが、本件に関連するコメントは一切公開されないようです)
なるほど。「眞鍋さんの」選挙ポスター掲載問題は芸能界的には解決したということなのですね。金銭的な和解があったかどうかは知るよしもありませんが、眞鍋さんの芸能活動面への影響はなくなったようです。
となると、残っているのは城内氏側の問題です。「(人物)写真を無断使用した」という眞鍋さんの肖像権に関する問題は、和解により不問とされるとしても、「芸能人の応援メッセージを捏造し、ポスターや後援会リーフレットに載せたこと」で有権者を惑わせたという事実は残っていますし、それに対する説明責任まで免責されるわけではありません。
今後の展開次第では、選挙戦に影響することも考えられますし、公職選挙法上の問題とされる可能性もあります。その辺りについて城内実氏はどう考えているのでしょうか?選挙の結果が楽しみです。
8月18日 追記
衆議院議員選挙の公示日である今日、城内実サイトに動きがあるかと覗いてみたところ・・・
トップページその他に大きな動きがありました。
もちろん、今日からは公職選挙法によりブログの更新などはできなくなるのですが、その前に更新したようです。
「ポスター」騒動の記事はトップページから消え、全てのトラックバックとコメントが削除されています。
選挙期間終了後は、復活するのでしょうか?
※ 本記事は、公職選挙法に抵触するおそれがあるため、選挙期間中は非公開としました。(選挙終了後に再公開しました)
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